眼圧(がんあつ)とは、眼球の内側から外側にかかる圧力のことです。眼球の形を球状に保ち、網膜などの組織が正常に働くために必要な一定の硬さを維持する役割があります。

眼圧のメカニズム
眼圧は、主に眼球内で絶えず生成・排出されている**房水(ぼうすい)**という透明な液体の量によって調節されています。
- 房水の生成: 房水は、毛様体(もうようたい)という組織で生成されます。
- 眼球内での循環: 生成された房水は眼球内を循環します。
- 房水の排出: 最終的に、房水は**隅角(ぐうかく)**にある線維柱帯(せんいちゅうたい)というフィルターを通って、眼球外の血管へ排出されます。
この房水の「生成量」と「排出量」のバランスが保たれているとき、眼圧は正常に維持されます。
眼圧の正常値と変動
- 正常範囲: 日本人の正常な眼圧の平均値は10~21mmHg(ミリメートル水銀柱)とされています。
- 日内変動: 健康な人でも、眼圧は一日の中で変動します。一般的に、早朝から午前中にかけて高くなり、夕方から夜にかけて低くなる傾向があります。
- 測定: 眼圧は、眼科で眼圧計を使って測定されます。
眼圧異常が引き起こす主な問題
眼圧の異常は、特に視力に関わる重要な病気と関連しています。
- 高眼圧:
- 房水の排出経路が詰まるなどして、眼圧が異常に高くなった状態です。
- 最も大きな問題は緑内障です。高すぎる眼圧が視神経を圧迫し損傷することで、視野が徐々に欠けていく病気です。緑内障の治療の第一目的は、眼圧を下げて視神経への負担を減らすことです。
- 低眼圧:
- 房水の生成が極端に少なくなったり、排出されすぎたりして、眼圧が低くなりすぎる状態です。
- 眼球の形が保てなくなり、視力が低下したり、網膜や脈絡膜などに異常をきたしたりすることがあります。
眼圧は、緑内障の早期発見と治療効果の判定において、非常に重要な指標です。気になる場合は、定期的に眼科で検査を受けることが推奨されます。