膝の痛みは、年齢、生活習慣、スポーツ歴などによって原因が多岐にわたります。膝は「歩く」「立つ」という動作で体重の数倍の負荷がかかる場所であるため、一度痛めると日常生活に大きな支障をきたします。
痛みの出るタイミングや場所から、考えられる主な原因と対策を詳しく解説します。
🦵 膝の痛みの主な原因
大きく分けて「加齢・変形」「ケガ・損傷」「炎症」の3つのパターンがあります。
1. 変形性膝関節症(最も多い原因)
軟骨がすり減り、骨と骨がぶつかることで炎症が起きる病気です。
- 特徴: 40代以降の女性に多い。
- 痛みの出方: 動き出し(立ち上がる、歩き始める)が痛む。階段の上り下りがつらい。末期になるとじっとしていても痛む。
- 状態: 膝に水が溜まる、O脚が進む。
2. 半月板・靭帯の損傷(スポーツや事故)
膝のクッションである「半月板」や、骨を繋ぐ「靭帯」が傷つくタイプです。
- 特徴: 若い層から活動的な高齢者まで。
- 痛みの出方: ひねる動作で激痛が走る。膝が「ガクッ」と外れる感覚(膝崩れ)や、何かが挟まったような感覚がある。
- 状態: 膝を完全に伸ばせない、または曲げられない(ロッキング)。
3. 周囲の炎症(使いすぎ・筋肉の硬さ)
関節そのものではなく、周囲の腱や筋肉が原因となるものです。
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝): 膝の外側が痛む。長距離走などが原因。
- オスグッド病: 成長期の子供に多い。膝のお皿の下が膨らんで痛む。
- 痛風・偽痛風: 急激に腫れ上がり、じっとしていても激しい熱感と痛みがある。
🛠️ 自分でできる対策と予防
膝への負担を減らす「自分自身のサポーター(筋肉)」を育てることが基本です。
1. 大腿四頭筋(太ももの前)を鍛える
膝を守る最大の防御壁は、太ももの筋肉です。
- 足上げ運動(SLR運動): 仰向けに寝て、片膝を立てます。もう片方の足を伸ばしたまま、床から10cmほど浮かせて5〜10秒キープ。これを左右繰り返します。膝に負担をかけずに鍛えられます。
2. 体重管理
- 負荷の軽減: 歩行時には体重の約3倍、階段では約5〜7倍の負荷が膝にかかります。体重が1kg減るだけで、膝への負担は3〜5kg軽減されると言われています。
3. 靴選びとインソール
- クッション性: 底が硬すぎる靴は衝撃を吸収できません。
- 足の歪み矯正: O脚気味の方は、靴の外側を少し高くするインソール(足底板)を使うことで、膝の内側にかかる負担を逃がすことができます。
🚨 すぐに病院(整形外科)へ行くべき目安
以下のような症状がある場合は、自己判断でストレッチなどをせず、早めに専門医を受診してください。
- 膝が熱を持って赤く腫れている(感染症や痛風の可能性)
- 転倒や強打の後から、膝に力が入らない・歩けない(骨折や靭帯断裂の可能性)
- 膝の中に何かが挟まったようで、動かなくなった(ロッキング現象)
- 安静にしていてもズキズキ痛んで眠れない
