捻挫癖とは、一度捻挫をした部位を繰り返し捻挫してしまう状態を指す俗称です。これは、捻挫によって関節の靭帯が緩んだり、関節の感覚(位置や動きを把握する固有受容覚)が鈍くなったりすることが主な原因です。この状態が続くと、関節が不安定になり、少しの負荷でも簡単に捻挫しやすくなってしまいます。

捻挫癖の主な原因
捻挫癖は、最初に捻挫した際の適切な処置とリハビリ不足が大きな要因となります。
- 靭帯の緩み: 捻挫は靭帯が損傷することですが、初期の捻挫で靭帯が完全に修復されずに伸びたままになってしまうと、関節の固定力が弱まり、ぐらつきやすくなります。
- 固有受容覚の低下: 足首を捻ったとき、「このままでは捻挫する」と体が認識して反射的に立て直す能力が、捻挫を繰り返すことで鈍くなってしまいます。これにより、バランスを崩したときに適切な反応ができなくなります。
- 周囲の筋肉の弱化: 捻挫をすると、その部位をかばうことで筋肉がうまく使われなくなり、弱ってしまいます。弱い筋肉では関節をしっかり支えられず、不安定な状態が続きます。
捻挫癖を改善するための対策
捻挫癖を改善するには、痛みがある場合はまず医療機関を受診し、その後、靭帯の安定性を高め、固有受容覚を回復させるためのリハビリが不可欠です。
- 足首の安定性を高めるエクササイズ:
- バランス感覚のトレーニング: 片足立ちをしてバランスをとります。慣れてきたら、目を閉じたり、不安定な場所で行ったりすることで、より効果を高めることができます。
- チューブを使った筋力トレーニング: ゴムバンドなどを足首に巻き付け、様々な方向に動かすことで、足首周りの筋肉を強化し、安定性を高めます。
- サポーターやテーピングの活用:
- 運動時や不安定な場所を歩く際に、足首のサポーターやテーピングで関節を補強することで、捻挫の再発を防ぐことができます。
- 靴の見直し:
- 足に合わない靴や、ヒールの高い靴は足首に負担をかけます。自分の足に合った、安定性の高い靴を選ぶことが大切です。
応急処置
もし捻挫をしてしまった場合は、再発を防ぐためにも、速やかにRICE処置を行うことが重要です。
- R (Rest): 安静にする。
- I (Ice): 氷で冷やす。
- C (Compression): 弾性包帯などで圧迫する。
- E (Elevation): 患部を心臓より高い位置に挙げる。
捻挫癖は、放置すると将来的に変形性関節症などの原因となることもあります。しっかりと治療とリハビリを行い、予防に努めましょう。